別の映画を見に行ったときにやっていた予告編、というよりもミニ・ドキュメンタリーみたいな紹介フィルムを観ていたからね。アカデミー賞にノミネートされたよ、っていう頃。
だから、ただのミュージカルではない、っていう認識は持って、観に行ったのだけれども。
まさか、こんな、とはね。
物語は有名らしいのだけれど。名作嫌いの僕は、良く知らないんだよね、ものがたり。だから、どきどきはらはらした分もあれば、後から考えると、深読みしすぎて逆に理解しづらい部分もあったよ。例えば、銀の燭台の件とかね。ぬか喜びさせてあとが心配、とか思っていた僕は、心がきれいではないのだろうね、きっと。
でも、そういうことが細かい、些細なことと思えるほど、引き込まれてしまったよ。
それは、驚くべきことに。ストーリーにではなくて。唄って踊る、ミュージカル映画として引き込まれたんだよね(あんまり踊らないけれど)。
歌も同時に録る、っていう撮影方法だから、(たぶん)必然的に長廻しとクローズアップが多い画面でね。
ミュージカルイコールみんなが突拍子もなく歌い出す。だから観ている方が照れくさい、っていうのが、ウエストサイドストーリーまで含めて、僕の今までのミュージカルのイメージだったのだけれども。
台詞を喋って、芝居をして。そのままの表情で歌い出す画と音声とで、その照れくささを感じさせることがなかったんだよね。この映画。(ラッセル・クロウの歌だけはちょっと照れくさかったけれど)
つまりは、ストーリーと演技、そして歌にも自然に、何重にも感情移入できる、お得な映画だったってこと。
お得とか、観ているときには考えることもなく、ただただ圧倒されてしまったっていうことなんだよね。
失恋の歌に絡まる雨の音さえも愛おしい。久しぶりにコレクションしたい映画、だったよ。
アカデミーの授賞式、作品賞ノミネート作で観ていたのはこれだけだったのだけれど、当然これがもらうものだと思い込んで、授賞式観ていたよ。
余興でみんなで唄ってくれたので、賞はともかく大満足だったけれど。
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