その秘密は何か解き明かそうとして、がんばって聴いていたのだけれどもね。
ミシェル・カミロ系のパラパラ感と、お家芸の「短音連打」のリズム感。今回は、それだけじゃなくって、ミシェル・ペトルチアーニの透明な音色が、実はすごいんじゃないか、って思ったりもしたのだけれどもね。
ただ。
綾戸智恵にも感じたのだけれど。
何度か聴くと、「おなじみの」と、「待ってました」の部分が大きくなるんだよね。
それは、MOVEに代表される、短音連打であり、山下洋輔張りのパラパラ、掌、肘打ちであり、カミロ張りの速弾きであり。
そのためのオリジナル曲であり。
でも。
オリジナル曲で埋めつくされた曲を聴いていくと、それが4ビートの古いジャズの範疇からは大きく外れた、でも魅力的な曲達であればあるほど。
ああ、上原ひろみで、スタンダード聴いてみたいなあ。
っていうのが、大きくなってくるんだよね。
コンサートの翌日、ジャズが好きで、何十年も週末には練習して年2回コンサートを開く旧友達と、上原ひろみについて話をしていたのだけれど。
「(東京公演を聴いた人は、)あの面子だもん、良いに決まってる」
「(いわゆるジャズを聴くとほっとする、という流れで)まだサイモンとやってるの。ジャズじゃないよ、それ」
「(ピアノ弾きは)曲芸はちょっと食傷気味。音の圧力の凄さは、ペトルチアーニが飛び抜ける。筋肉じゃないんだよね」
それでも、僕は、というよりみんな上原ひろみが好きだし、どこまで大きくなるか見てみたいと思うのだけれど。
秋吉敏子に迫ろう、という野望と価値観を抱くなら、聴かせて欲しいなあ。そろそろ。
圧倒的な、スタンダード集。
もちろん、インプロビゼーションこそがジャズである、っていうのも一理だし、それを愉しんでいる上での贅沢だけれども。
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